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身寄りのない一人暮らしの高齢者の成年後見人選び

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2016.08.23

Aさんは70歳。ご主人を5年前に亡くしてから一人暮らしをしています。

子どもはいません。兄弟はおらず、両親も既に他界しました。

収入は、年金と家を貸しているので、その家賃収入でまかなっています。

今は元気だが、将来もし認知症になった場合のために何か出来ることはないか。

元気なうちに後見人選びをしよう

成年後見制度には、1法定後見制度と、2任意後見制度があります。

1.の法定後見制度は、すでに判断能力が低下した方を対象とした制度ですが、2.の任意後見制度は、現在は、判断能力は十分あるが、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ将来の任意後見人と契約を結ぶ制度です。

 

Aさんは、現在判断能力もありますので、2、の任意後見制度を利用することが考えられます。

 

任意後見契約の内容は自由ですが、例えば、賃貸建物について、借主さんとの間の契約をお願いしたい、介護契約や、入院契約について将来の任意後見人に代理して欲しいなどの内容が考えられます。

任意後見人は基本的にどなたでもなれますが、未成年者や破産者、行方不明者など一定の方が不適格とされています。

任意後見契約を結ぶポイント

1、将来の任意後見人を誰にするか、どのような内容をお願いしたいか決める。

→将来の任意後見人を決めることはとても重要なことです。ご本人と任意後見人の相性もあると思いますので、できるだけ多くの候補者とお会いして、お互いに信頼関係を築けるような方であるか慎重に考えましょう。

 

将来の任意後見人と契約を結ばれるのに、数年かけても長くありませんので、慎重にお考えされることを勧めます。

 

2、ご本人と将来の任意後見人との間で任意後見契約を結びます。

→ 任意後見契約は、公証役場で契約します。任意後見契約を公証人による公正証書にするのは、ご本人が判断能力のある時に、本当にこの契約を結ぶ意思があるのかを確認してもらうためです。

任意後見契約が結ばれましたら、この内容は東京法務局に登記されます。

 

 

成年後見のスタート

3、判断能力が低下してきたら、家庭裁判所に任意後見監督人を選ぶように申立をします。

→ ご本人の判断能力が低下したら、任意後見契約を始めるために、任意後見監督人を選びます。

 

ポイントとしては、「判断能力が低下してきたら」ですが、周りの方が低下してきたことに気が付かれて、次の段階(ここでいう3番)に進もうという判断をすることも出来ます。

 

裁判所に申立ができる人は、ご本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者です(任意後見契約に関する法律4条1項)。但し例外もあります。

裁判所に任意後見監督人の選任の申立をする際には医者の診断書を付けますので、「判断能力が低下してきた」かどうかの実際の判断はお医者様になるかと思います。

 

 

4、任意後見監督人が家庭裁判所から選任されたら、任意後見が開始されます。

任意後見監督人は、任意後見人がご本人のためにしっかりと仕事を行っているかをチェックします。

 

任意後見監督人の選任は、裁判所が職権で第三者専門職を選任するため、申立人側が人選に関して関わることはできません。

そのため、本人もしくは周りの人が、この人を任意後見監督人にして欲しいということは言えないようになっています。

この記事を書いた人

森住 都

森住 都

司法書士 埼玉大学教育学部卒業後、女性司法書士が活躍する本に影響を受け、司法書士の道を志す。 平成10年から大手司法書士法人や地元密着型の司法書士・弁護士事務所などの勤務を経て、平成27年にみやこ司法書士事務所を開設。 当事務所の理念 ・ 1、誠実に業務を遂行します。2、お客様に安心感を提供します。3、日々成長する努力を怠りません。 現在は、主に相続、遺言、成年後見など高齢者サポート業務に取り組んでいる。

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