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相続人のもめごと・・・申告上の留意点「小規模宅地の特例」

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2016.07.13

相続人の間でのもめごとは、無数に可能性があります。

遺産分割協議で争う、遺言書の有効・無効で争うなど、十人十色です。

 

今回は、争いのタネがある場合の、申告上の留意点についての一つ目。

遺産分割協議はとりあえず調ったが、兄弟が不仲となってしまった例です。

相続の申告書の提出について

相続税の申告書の提出先は亡くなった方の住んでいた住所の所轄税務署ということになりますので、相続で財産を取得した場合、全員が同じ税務署へ提出することになります。

また、原則として、相続人全員での共同提出となります。

 

とはいえ、もう口も利きたくない兄弟はその共同提出も嫌がり、それぞれ別々の税理士に依頼し、相続税の申告書を提出することになりました。

原則は共同提出ですが、別々に提出すること自体は問題ではありません。

 

ただし、高確率で税務調査がありますので、そこはお覚悟を・・・。

 

「小規模宅地の特例」の適用を受ける際の注意点とは?

さて、この場合の問題の一つとして「小規模宅地の特例」の規定の適用があります。

 

この小規模宅地の特例は、無制限に適用できるわけではなく、限度面積が設けられています。

(平成28年現在、特定事業用宅地等の合計400㎡まで、特定居住用宅地等の合計330㎡まで、併用可、等)

特例を受ける場合に添付する計算明細書には「同意欄」が設けられており、この特例の適用を受けるすべての財産取得者の名前を記入する様式となっています。

要するに、「自分もこの特例は使えるけど、この人が使うことについてOKしていますよ」という財産取得者間の表明を行う欄です。

 

この同意欄に書くお名前は「自筆署名」ではないということがネックであり、他の財産取得者の同意もないのに、自分が小規模宅地の特例を受けるがために他の名前を記載してしまう実例があります。

他の相続人からみれば、「自分は同意をしていないのに、なんで自分の名前を勝手に書いたんだ?!」という新たな争いに発展してしまうのです。

 

この例は、「同意欄」を正しく理解していない税理士に最大の問題がありますが、相続人間でもめるということは、このように多額の相続税を圧縮し得る小規模宅地の特例の適用にも影響を与える可能性があるということです。

 

この時点では元々の財産取得者はもういません。

避けて通れるのであれば、このような事態は無いに越したことはありません。

相続税対策は、このような争いの可能性も考慮しなければならないのです。

この記事を書いた人

若山昌美

若山昌美

税理士 大妻女子大学短期大学部卒業、役員秘書として鉄道会社に8年間勤めた後、税理士を目指して転職し、税理士資格を取得する。相続税について一般向け、銀行行員向け、会計事務所職員向けのセミナー講師や、ハウスメーカー主催の相続相談会の相談員を務める。中央区立女性センターの登録団体である女性士業ネットワーク「FLAPはばたき」代表。 常世田正之税理士事務所 所属税理士

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