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相続人のもめごと・・・申告上の留意点(生前贈与)

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2016.07.24

法定相続分課税方式の特徴とは?

相続税の計算方法は国によってさまざま(相続税が無い国もあります!)ですが、現在の日本の相続税は「法定相続分課税方式」が採られています。

 

相続税の計算方法は「相続税の計算の基礎」にて述べました。

この課税方式の最大の特徴は、遺産の分割の仕方により相続税の総額が変わらないということです。

亡くなった方がいくらの財産を持っていたかによって相続財産の額が確定し、法定相続人がその相続分を取得したものとして相続税額が確定し、それを実際の財産取得者が財産の取得割合に従って按分して相続税を負担します。

(ただし、小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減の特例を適用する場合は、財産を取得した方によって結果として相続税の総額が変わります。)

生前贈与は亡くなる何年前の分まで含まれるの?

相続税の課税対象となる財産は、亡くなった時の財産の他、亡くなる前3年間に贈与により相続人が取得した財産や、相続時精算課税により取得した贈与財産も含まれます。

換言すれば、これらすべての贈与財産が明らかにならない限り、財産取得者全員の正しい相続税の計算は不可能なのです。

 

生前に、「お前(弟)は子供たちの中では特別な存在だから特別にこれをあげよう。ただし、兄さんたちには内緒だぞ。」と贈与した財産についても、実は将来の相続税の課税対象となるかもしれません。

 

弟はお父さんの言いつけを守って黙っていた・・・。その結果、相続税が不足している可能性があります。

生前贈与のトラブ事例とは?

また、「弟は父から生前に贈与を受けていたらしいが、教えてくれないから税額計算ができない・・・」ということになれば、お兄さんたちが税務署に対し「贈与税の申告内容の開示請求」を行い、その生前贈与された財産の合計金額(詳細は開示しません)を確認し、課税対象財産に合算します。

これで正しい相続税額が計算されます。

しかし・・・、こうなってしまった以上、この兄弟仲の修復はかなり難しいですよね。

 

生前の相続対策、特に争族対策では、他の相続人への隠し事は危険です。

相続というのは平等が理想ですが、現金以外の財産について、「平等」というのは現実的には不可能です。

また、生前贈与は財産所有者の意思が明確ですので、財産を与えてもらえなかった他の相続人の不平等感を助長させます。

ですから、なおさら他の相続人への配慮を忘れずに、やむを得ず不平等となる贈与であっても他の相続人に「仕方がないな・・」と思わせるお心遣いをお忘れなく。

この記事を書いた人

若山昌美

若山昌美

税理士 大妻女子大学短期大学部卒業、役員秘書として鉄道会社に8年間勤めた後、税理士を目指して転職し、税理士資格を取得する。相続税について一般向け、銀行行員向け、会計事務所職員向けのセミナー講師や、ハウスメーカー主催の相続相談会の相談員を務める。中央区立女性センターの登録団体である女性士業ネットワーク「FLAPはばたき」代表。 常世田正之税理士事務所 所属税理士

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